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地盤

地盤について

 基礎と軸組を頑丈に作る前に、まず考えるべき重要なものが「地盤」です。地盤という部分は本来、基礎と軸組を支える最も重要視されるべき部分と考えます。軸組を強くする工法のノウハウは世にあふれていますが、それらを採用し、構造を強化したというのは明らかに的外れです。地盤の状況により、地震時に建物に伝わる外力は大きく変わりますから、地盤の特性を把握せずに構造を強化するというのは不可能だと考えます。
 いくら軸組部分が強くても、地盤が弱ければ建物は崩壊してしまいます。それは誰もが容易に想像できるかと思います。しかしながら、住宅業界は地盤という部分に関して、明らかに「正確な知識や情報、工法のノウハウ、それに伴う技術が、質・量ともに絶対的に不足している」と感じています。(当社は独自の活動・情報収集を行い、論理的に地盤設計を行っています。)

地耐力とその基準

 地耐力とは、地盤に真上から荷重を与えた場合、どの程度まで地盤を形成する土が変形せずに耐えられるかを示す重要な数値です。そして、その数値が地盤設計の基準となります。地耐力を示す単位はKN/uで、「1uあたり何KNの重さを支えることができるか?」といった形で表されます。(1KN≒1t)

それでは、2階建の木造住宅において、地耐力はどのくらい必要なのでしょうか?
【条件@】 屋根:ガルバリウム 外壁:サイディング 基礎:布基礎
この場合、建物の重量はおよそ20KN/u前後(実質の荷重)となります。
【条件A】 屋根:瓦屋根 外壁:外装タイル 基礎:ベタ基礎
条件をAに変更した場合、建物の重量は5KN/u〜10KN/u。

ここで注意するべきことは、現在の地耐力に関する基準は、住宅の屋根や外壁などの仕様、そして、その住宅が平屋であるか2階建であるか等の条件をまるで無視した形になっている点です。

その基準とは…?

【国土交通省告示1347号】
※この表は上記告示をわかりやすく表したものです。

地耐力20KN/u以下 杭基礎
地耐力20を超え〜30未満KN/u 杭基礎・ベタ基礎
地耐力30KN/u以上 杭基礎・ベタ基礎・布基礎
 こんなに大雑把でいいのでしょうか?
 確かに告示では30KN/uと、先ほど仮定した数値より地耐力が大きめになっています。しかし、こういったあまりにも大雑把な基準では、過剰設計になったり、建物によっては、実際の地耐力が不足しているという事態を招きかねません。
 告示は法律ですから遵守する必要がありますが、プロとしてもう少し踏み込んで設計を行うべきです。

地盤調査

地盤設計を行なうために、地盤調査を行ないますが、その際検討すべき事項が5つあります。
@ 地耐力⇒前項で述べたとおりです。
A 地層傾斜⇒長期にわたって形成されている地層の傾斜を調査します。
B 表層地質⇒地質による土の特性の違います。現地の状況・文献等で調査します。
C 前歴⇒造成経過年数や盛土、畑、田等の土地の前歴を調査します。
D 周辺状況 ⇒ 擁壁や地中に埋設させている、また、これから埋設が予定されている等を調査し、建物計画位置に影響を及ぼすものがないか予測します。
 これら5つの事項を調査する為に「地盤調査」が行われます。当社では、「表面波探査法」を採用しています。

表面波探査方法のイメージ

地盤の設計

 地盤調査で得た結果を分析して地盤設計が行われます。地盤は、住宅の「瑕疵10年保証」の対象外となってしまいましたが、「地盤保証」という専用の保証を採用していますので、その保証会社の合意の上での設計となります。
 仮に地盤が「弱い」「バランスが悪い」といった場合、当社ではどのような設計を行っているのかご案内いたします。
@ 建物自体を軽くする。
 重量の大きな仕上げや構造の使用・採用は極力さけます。例えば、地耐力が29KN/uの場合、告示ではベタ基礎が採用されることとなりますが、ベタ基礎は布基礎に比べ、建物の自重を≒3KN/u(300s/u)増大させます。
 おかしいと思いませんか?「地耐力が不足しているからベタ基礎にする」という考え方ではなく、「建物自体を軽くする」という考え方の方が正しいと考えます。
A 地盤のバランスが悪い(地層傾斜が激しい)場合は、地耐力と土のスベリによるせん断破壊に留意する。
 固い地盤と緩い地盤との地層の境界は、土が押し込まれる形で発生するスベリ(逃げ)によって、不同沈下の危険性が非常に高くなります。スベリによるせん断破壊を防ぐためには、土を拘束する対策をふまえながら、地耐力もしっかり確保できるように、表層部分(緩い地盤)の土を砕石に入れ替えたり、セメントを混ぜ改良する必要があります。セメント改良の場合、改良する層は少なくとも40cmは確保する必要があります。
B 地盤が根本的に弱い(緩い地盤が表層から1.0m以上続く)場合には、杭基礎を検討する。
 極力避けたいのが杭基礎の使用です。それは、コストが大きくなるからに他なりません。ただし、杭基礎を使用した場合に、振動や地震、風等に関して非常に有効であることは間違いありません。緩い地盤が1.0m以上になる場合には、改良工事の方がかえってコストが大きくなってしまいます。この場合は、杭基礎を採用するのがベストな選択と言えます。

 以上は当社の基準です。あくまでも基準であり、実際に掘削した場合、どのような状態の地盤状況が待ちうけているかはわかりません。地下水(ある程度予測可能)が出た場合は、上記Aの地盤改良が不可能になります。また、杭基礎を行なう場合、大きな石や解体工事後のガラ等が土中に残されている状態での施工は非常に困難となります。そういったケースでは、設計的な判断において、流動性や可変性、適応力が必要とされることが多々あります。
 大切なのは、「しっかりとした基本と知識、技術があった上での判断か」ということであり、「決して法律や基準、保証会社の要求を満たすだけの地盤設計であってはならない」と考えます。

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