当社が軸組工法を採用する理由
ここまでに述べたように、構造的な側面から見ると、やるべきことをきっちりやれば「どっちの工法でもいいんじゃないの?」と思ってしまいます。当社が軸組工法を採用する理由は他にあります。これまで示した「強さ」から、少し離れた視点で見てみましょう。(表2)の比較表をご覧下さい。
(表2)
| A軸組工法の長所(=枠組工法の短所) |
B軸組工法の短所(=枠組工法の長所) |
| @ |
間取りの自由性 |
| A |
大きな開口部が可能 |
| B |
大きな部屋、吹抜が可能 |
| C |
増築、リフォームの自由性 |
| D |
確実な内部結露対策が可能 |
| E |
国産木材がメイン |
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| @ |
熟練した職人が必要(人件費⇒大⇒コスト大) |
| A |
筋交いが断熱施工の邪魔 |
| B |
気密の確保が難しい |
| C |
現地作業が多く省力化が難しい
(枠組の場合プレファブ工法等がすでに確立している) |
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では、表2をもとに、当社が軸組工法を採用する理由を説明していきます。
まずA-@〜Cは、そのままなので、簡単にご理解頂けるかと思います。全てが重要で必要なことですね。この長所・短所は日本の法的基準がもとになっています。軸組工法は日本で、枠組工法は北米で生まれた工法です。つまり、育まれてきた環境により規定や基準が違い、その結果、それぞれの地域の環境に適した工法となっていることがわかります。
そしてA-Dについて、これは専門的なポイントです。内部結露対策は耐久性から耐震性へと波及していく、非常に重要なポイントです。「内部結露(「性能-A
温熱環境に関すること」参照)と木構造の工法にどんな関係あるの?」と思われる方も多いはずです。実際には、この2つに大きな関係があります。結露の原因となる「湿気」はどこから発生してくるのでしょう?人や料理、洗濯物などの日常生活からはもちろん、木材(無垢の木は半永久的に吸放湿を繰り返します)や外気と内気の温度差、最悪は内気と内気の温度差による目に見えない結露等、湿気の要因となるものはたくさんあります。
しかし、この湿気の発生を「0」にすることは不可能です。これらの湿気が外壁面の内部(断熱層)に入り込んだり、またそこで発生したりすると内部結露を起こす可能性が高まります。結露の発生は、まず断熱材の性能を格段に低下させます。そして、断熱性能の低下によって、温度差の大きな空気が、より外壁面の内部に触れ合いやすくなります。そして、さらにひどい内部結露が発生します。最終的には、「木材が腐食し、それがカビ・ダニを呼び、さらに、腐った木材を食べるシロアリを呼んでしまう」といった恐ろしい悪循環につながります。これを防ぐには、確実な内部結露対策が可能な軸組工法が適しています。(図3参照)
軸組工法で内部結露対策を行なう場合、外壁側の通気層と内壁側の気密シートの位置関係が非常に重要となります。(図4参照)
では、「枠組工法の場合は?」
枠組工法の場合、その基本である外壁側に貼った合板が内部結露対策において命取りになります。通常、この合板が気密層になるため、内側には改めて気密シートを貼りません。この場合、室内で発生した湿気はどんどん壁の内部に入り込みますが、合板は湿気を通しずらいため迅速には排出できません。この仕組みにより、建物内に内部結露の悪循環が発生する可能性が格段に高まります。かといって、室内側を気密シートで防湿すると、木材から発生した水分や将来的な雨漏りによる水分が拘束されて排出されづらくなります。ですから、外壁側の合板は、普通の構造用合板やOSB合板のように、透湿抵抗が高い材料は絶対に使用すべきではありません。(こういった問題を考慮した商品はあります。)
どのような内部結露対策を行なっても、1年の中で最も気象条件の悪い数週間は、内部結露が発生してしまうことを覚悟しなければいけません。しかし、問題は、その発生した結露を後々まで影響させないようなリスク管理が確立できているかどうかです。当社では、そのリスク管理を形として確立し、軸組工法を実践しています。
次に、A-Eについてです。製材品について考えたとき、軸組工法用の材料は、ほぼすべて国産材でまかなうことが可能です。国産材を使った軸組工法は、製材の安定的な確保・価格・品質の安定性、そして日本という気候への木材の順応性、さらには環境負荷などを考慮した場合、最適な工法といえるでしょう。
最後に、B-@〜Cについてです。これらは全て施工に関することです。まず、B-@について、軸組工法は熟練した職人でなければ、絶対に造ることができません。熟練した職人の育成は非常に時間を要します。当社には、何十年と軸組工法を実践してきた自社の職人がいます。様々な情報・技術を共有し、細部まで意思の疎通が取れる職人がいます。この職人たちは、B-AやB-Bに対して丁寧に、そして容易にこなす技量と知識を兼ね備えています。そして、B-Cについて、当社の長年積み上げてきたノウハウは、これ以上ない程の作業の省力化につながっています。この自社の職人や蓄積されたノウハウが、当社が軸組工法を採用している最も大きな理由といえるでしょう。
余談ですが、「軸組工法に合板を貼って、耐震住宅にする」といった宣伝をよく耳にします。その上、グラスウールの充填工法・・・。当社として考えられる、このやりかたのメリットはただ1つ、「筋交いがない分、断熱材の施工が容易」。あとは、何もないのではないでしょうか?軸組工法の意味を失った耐震性能をセールスポイントにしただけの恐ろしい住宅です。
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